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  =日光東照宮の桔梗紋ついての質問=
 
 
    以前、掲示板等で「日光東照宮の桔梗紋《についての話題がありました。
 
    日光東照宮に明智光秀の家紋である桔梗の紋が施されたものがある。
    それが天海=明智光秀…つまり明智光秀が山崎の戦いを生き延び、徳川家康に保護され天海上人となった証拠のひとつ。
    
    と、テレビや雑誌やでもお馴染みの逸話なのですが…実際、私は信じていない。
    信じている人もいる様だけど私は信じていない。
    けっきょく賛否の確証のないまま話題は流れていきましたが…
 
 
 
 
 
   
 
① 桔梗の家紋とは? 
 
桔梗紋 ←桔梗紋 
 
 キキョウ紋は土岐氏の代表家紋だが、その支流の椊村、揖斐、蜂屋、土井、菅沼、仙石、徳山、肥田氏も用いている。 しかし、同じく頼光流で勢力のあった太田氏をはじめ、遠山、恒岡、池田、高田、能勢、竹本、福島(…略)、広瀬、山田の諸氏も用いている。
 これでみると使用者は土岐一族ばかりではないこともわかる。 
 しかし、ほとんどが清和源氏流で、義家流では、松平、花井、荒川(足利支流)、小柴(〃)、榊原(〃)の諸氏、義光流では川窪、窪田、深見 (…略)、キキョウ紋と清和源氏との結びつきはきわめて強いことがわかる。
 のち、キキョウ紋は明智光秀や加藤清正のような歴史上有吊な武将もこれを用いたので、ますますなじみ深いものとなった。
 
     (出典:『家紋大図鑑』丹羽基二著 秋田書店刊 昭46   項:桔梗 頁212 引用) 
 
 
   歪な家紋の図案ですがご容赦。 
 フリー素材の家紋があるか探せなかったので、自分で書いてみました。 
 まぁ、こんな感じの家紋という事で。 (この項の家紋、全て自前です
 綺麗な意匠はネット検索で探してみて下さい。 
     ↓
   Google "家紋" "桔梗" 検索
 
 
 さて、日光東照宮。
 中学生の頃、修学旅行で訪れた事があるのですが…当時は「天海=明智光秀説《とか全く興味が無く、
「東照宮に桔梗紋がある《なんて話も知らなかったのではないかと思います。
 以降、日光東照宮に訪れた事がありません。
 テレビや雑誌等で盛んに「東照宮に桔梗紋がある《なんて話題が出ているので、一度見てみたいと思いつつ…今に至ります。
 
 そこでネットで、その桔梗紋とは何ぞや?と検索してみることにしました。
 大量にヒットしました。
 ページを開くと、皆一様に、「東照宮に何故か桔梗紋???《と言った具合に紹介されてます。
 どの場所に?どんな状態で?と思い、画像を検索。
     ↓
   Google "日光" "桔梗" 検索
 
 
 これも沢山出てきましたが…いかんせん、画像が小さい。画質があらい。
   (ネット上に載せるのですから仕方がありませんが…)
 それでも、なるべく大きな画像、鮮明な画像をさがすうち、おや?と思えてきました。
 確かに武者像の袴(?)に桔梗紋らしきものがあるのですが…
 これ?明智光秀の桔梗紋???
 
 
 
 
② 木瓜紋 
 
織田木瓜紋 ←織田木瓜紋 
 
 木瓜は当て字で、もとは窠紋という。 
  (…略) 
 武家で窠紋を用いたのは越前の朝倉氏である。
「日下部系図《によると、朝倉太郎のとき白い猪を退治して窠紋を頼朝より賜ったとある。
「太平記《にも下濃瓜紋を用いた武士があらわれ「羽継原合戦記《には。織田、遊佐、秋元、熊谷、折野、松岡、朝倉、海老吊の諸氏が用いている。
「見聞諸家紋《には富永、遊佐 (…略) 徳川時代には、大吊の織田、堀田、有馬の三氏、幕臣では百六十余家に及んでいる。
 
     (出典:『家紋大図鑑』丹羽基二著 秋田書店刊 昭46   項:木瓜・窠・瓜 頁582-584 引用) 
 
 
   ネット上のどの画像も鮮明さを欠く為、断言は出来ないけれども… 
 私には、あれは桔梗紋ではなく木瓜紋に見えて仕方が無い。 
 
 まず、仮にあれが桔梗紋としよう。 
 家紋は主たる意匠(例えば桔梗)そのままのものと、丸や四角枠が付いたり、数が増えたり、互い違いになったりと、
 様々なバリエーションがある。 
 もちろん、一人で幾つもの家紋を用いるケースもあるが、大抵は一人…と言わず一家に一種類。
 バリエーションのある…例えば「丸に桔梗《、「糸菱桔梗《、「八重桔梗《…と、
 縁故の一族である可能性はあっても、同じ一家とは限らない。
 ネット上で示される写真の紋は周囲に花弁の付いた紋である。
 いわゆる、明智光秀の土岐桔梗紋ではない。
 
 
 
 
③ 桔梗と木瓜 
 
桔梗木瓜  ←並べてみました 
 
  (左)青  ①の土岐桔梗紋に 
  織田木瓜風の花弁をつけてみました。 
 
  (右)赤  五葉の織田木瓜紋。
  (木瓜紋は四葉が主流だが織田家は五葉である。)
  
  桔梗紋の中の五葉は先が山型であるのに対し 
  木瓜は三つに分かれた形状である。 
  
  
  
  
 
   ネット検索で見つけることの出来る画像は上記のどちらかであると思われる。
 桔梗紋と木瓜紋の大きな差は葉の先端部分にあると思う。
 先端が尖り気味なのが桔梗紋。
 三山に分かれているのが木瓜紋。
 画像を見る限り刃先が三山に分かれている様に見えてならない。
 もう少し鮮明な画像が欲しい。
 もちろん、私が直接行って、見てくれば早いのだが…。
 今のこの体力と財力が、それを許してくれない。
 
 と、いう訳で…
 求む!鮮明な写真。
 
 
 
 
④ まとめ 
 
   ・ 日光東照宮の所謂「謎の桔梗紋《は「明智光秀の家紋ではない《と断言。
 
 ・ あれは「木瓜紋《であると推測。
 
    ・ 織田家縁のものである可能性あり。
 
    ・ 織田家以外の「五葉の木瓜紋《を用いた者である可能性あり。
 
 ・ もし特異な「五葉付き桔梗紋《であった場合。
 
    ・ 松平家のものである可能性も少々。(『家紋大図鑑』情報より、桔梗紋の種類を捜索中。情報求む。)
 
    ・ 土岐家宗家以外の「五葉付き桔梗紋《を用いた者である可能性もあり。
 
 
 
 
 
 
 
冒頭で述べた、以前の掲示板上での話題の折には、決着は出ず。
「明智光秀の家紋ではない《という私の見解は上記の通り今も変わりませんが、
とりあえず、まとめて掲げてみました。
 
では、あらためて…
求む!鮮明な写真。
 
 
 
 
 
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